自閉スペクトラム症とは

これまでは、自閉症をはじめ、広汎性発達障害、アスペルガー症候群などとも呼ばれていました。これら自閉的とされる特徴を持つタイプを統合し、現在は自閉スペクトラム症といわれるようになりました。

原因については現時点では解明されておりません。遺伝的要因など様々な要因が絡み合うなどして起きるのではないかと考えられています。ちなみに親の育て方、虐待、愛情不足などによって引き起こされることはありません。

自閉スペクトラム症でよく見受けられる症状ですが、人によって異なるとされ、また発達していくことで変わっていくということもあります。主に以下のような特徴がみられるようになります。

【対人関係や社会的コミュニケーションが困難】

  • 相手の気持ちを理解できない
  • 目を合わせることがない
  • 人の表情(目配せ 等)や言葉の裏にある意味を読みとるのが苦手
  • 周囲の状況等を把握し、その場で適切とされる行動をとれない

など

【特定の行動や強いこだわりをもっている】

  • 好きなことには異常な集中力を発揮:同じおもちゃでずっと遊び続ける
  • ひとつの動作を繰り返す:手をひらひらさせる、くるくる回っている、奇声を発する 等
  • こだわりが強い:自分の習慣(物の置き方、作業手順 等)を変えることがない など

【感覚が過敏、鈍麻している】

  • 日光やPCの画面等の光をまぶしく感じている
  • 特定の臭い(タバコ、化粧品 等)を苦手としている
  • 触れられることを嫌がっている
  • 痛みに気づきにくい
  • 温度の変化を感じにくい

など

診断について

診断をつけるにあたっては、問診と心理検査が中心となります。問診は、お子さんであれば医師から保護者へ、いくつか質問をしていきます。そのほか、医師がお子さんの行動(遊ぶ様子 等)を観察する(行動観察)ほか、知能検査や心理検査を行なうなどしていきます。

治療について

治癒させるための治療というのはありません。この場合、周囲のサポートや認知行動療法が必要です。サポートとは、家族など近くにいる方々がASDに対する理解を深め、本人にとって居心地が良いと感じられる環境づくりをしていくことです。

また認知行動療法(CBT)とは、考え方や自身の行動のパターンに気づき、それを見つめ直していくことで、問題とされる行動やストレス等を軽減させていくというものです。その内容については、お子さんの特性を十分に把握したうえで、行うようにします。

このほか、ASDに伴って起きるかんしゃくなどによって、医師が必要と判断した場合は、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、抗精神病薬を使用することもあります。