PTSDとは

これは心的外傷後ストレス障害ともいわれます。自分あるいは周囲の人が生命をおびやかされるような体験や目撃をした、もしくは性被害や暴力を受けたといった際に起きやすいとされています。この場合、それらの出来事は心の傷(トラウマ)となってしまい、記憶の中に残り続けることがあります。

そして、すでに終わっているにも関わらず、頭の中で頻繁に思い出されるようになることがあります。この状況を自身でコントロールするのは難しく、次第に日常生活に影響が及ぶようになります。その後、トラウマになる出来事から、1ヵ月以上もこの状態が続いているとなれば、PTSDと診断されます。

よく見受けられる症状としては、フラッシュバックがあります。この場合、過去のつらい出来事が突然思い出されるようになります。これによって交感神経が亢進していき、不眠、イライラする、集中するのが困難な状況というのがみられるようになります。またトラウマに関係する人や場所、あるいは物といったものを極端に避ける、感情の麻痺(感動をすることがなくなる、罪悪感に苛まれる 等)、人づきあいをしなくなるといったことも見受けられるようになります。

前述の症状が1ヵ月以上続いていることが確認されるとPTSDと診断されます。なお症状の持続が1ヵ月未満であれば急性ストレス障害と診断されます。この場合は、自然回復することもあります。

治療について

治療の目的は、心の傷を回復させることにあります。したがって、精神療法が中心となります。その中でも有効とされているのがエクスポージャー法(PE療法)と呼ばれるものです。これはトラウマ体験を思い出すだけでなく、しっかり向き合っていきます。

具体的には、同体験(しっかり記憶していて、話すことができる患者さんが対象)による自身の感情や気持ちなどを治療者(医師 等)と話し合っていくことで、次第にそれを受け止めていくといった内容になります。このほか、眼球運動による脱感作と再処理法によるEMDRを行うこともあります。

また、うつ病や不安障害も併発しているという場合は、抗うつ薬(SSRI)や抗不安薬による薬物療法が用いられます。