限局性学習症(SLD)とは

知的発達に遅れはみられません。ただ特定の学習領域(文字を正しく読む、字を正しくきれいに書く、計算や算数を行う)において、正常な知能であるにも関わらず、極端に成績が悪い、あるいは限定された学習だけ困難な状況に面しているという場合は、限局性学習症(SLD)と診断されます。このように知能に異常があるわけではありませんが、自閉スペクトラム症やADHDなどが併存していることがあります。

この限局性学習症につきましては、主に3つのタイプに分けられます。これらがみられる原因としては、中枢神経系などで、何らかの機能障害があるのではないかとも考えられていますが、現時点では解明されておりません。

読字障害(ディスレキシア)

文字を正しく読むのが困難で、読むのに時間がかかるので疲れてしまう。また、文章を句読点のないところで区切るほか、行を飛ばし読みするなどしてしまう。

書字障害(ディスグラフィア)

字を正しく書き写せないので、間違えていることがよくあります。そのため、字を書くことをためらいます。段落をうまく区切れない、句読点の打ち方が正確でないといったことも見受けられます。

算数障害(ディスカリキュリア)

数字の大小に関してうまく理解できていない、簡単な足し算や引き算であっても指を使うなどして時間かかるということがあります。また、文章問題の内容を理解できないので答えられないといったケースも含まれます。

診断について

知能検査を実施し、知能に異常がないかを調べます。また器質的な疾患がみられていないか、頭部CTやMRIによる画像検査を行なうこともあります。

治療について

学習に関する支援が必要で、指導方法を工夫します。例えば、理解していく段階を細かく設定し、繰り返し学べる環境を整えるなどして、成功経験を積み重ねることで自信につなげていくということがあります。筆記補助具や支援教材を使う、特別支援教育を活用するといった対応を行うなどしていきます。

またADHDを併存しているのであれば、薬物療法(メチルフェニデート)を用いることもあります。